膵臓がん治療

膵臓がん治療

膵臓がんの標準的な治療には外科療法(手術)・放射線療法・化学療法(抗癌剤)の3つがあります。腫瘍の広がりや全身状態などを考慮して、これらの1つ、あるいはこれらを組み合わせた治療(集学的治療)を行います。

特に膵臓がんの場合は早期発見が難しく、診断された時には既に切除手術の対象とならないほど進行していることが多く、難治性の高いがんで予後も良くないとされています。 そのため、放射線治療と抗がん剤治療を組み合わせた集学的治療を行うことが多いです。

1.外科療法(手術)

膵臓がんの治療の中で最も確実な治療法は、がんを含めて膵臓と周囲リンパ節などを切除する方法です。膵臓がんの位置によって以下のような方法が選択されます。ただし手術が適応になる条件としては、肝臓や肺などの膵臓以外の臓器にがんが転移していない場合、お腹の中(腹膜播種)にがんが広がっていない場合、主要な動脈にがんの浸潤を認めない場合が対象となります。

(1)膵頭十二指腸切除
膵頭部を中心にがんがある場合に、十二指腸・胆管・胆嚢を含めて膵頭部を切除します。
膵頭十二指腸切除術は消化器の手術の中で最も複雑な技術を要する手術で、リンパ節の切除も同時に行うため、手術時間は6~10時間かかります。
切除後には膵臓、胆管、消化管の再建が必要となります。
胃の一部を切除する場合と、胃をすべて温存する場合があります。
また門脈という血管に、がんが広がっていると疑われる場合には、門脈(もんみゃく)の一部も合併切除して再建することで、がんの切除は可能です。
また術後の合併症として、切除して残った膵臓と小腸をつなげた場所から膵液が漏れる膵液漏が起こる可能性があります。

(2)膵体尾部切除
膵臓の左側に腫瘍がある場合は、膵体部と膵尾部と脾臓を一緒に切除します。
切除後の消化管の再建は必要ないため、手術時間は3~4時間程度です。
また術後の合併症として、切除して残った膵臓と小腸をつなげた場所から膵液が漏れる膵液漏が起こる可能性があります。

(3)膵全摘術
膵臓全体にがんが広がっている場合は、膵臓のすべてを切除する膵全摘術を行います。
ただし、術後には血糖をコントロールするために、インスリンの注射が必ず必要になります。
術後の生活の質に支障をきたすことも多く、切除効果も低いため、近年ではあまり行われなくなってきています。

2.放射線療法

放射線療法は放射線を患部に照射してがん細胞を壊そうとする治療です。放射線療法には身体の外から放射線を照射する外照射と手術中に腹部の中だけに放射線を照射する術中照射という方法があります。
外照射は通常1日1回少量の放射線照射を4~6週間かけて行ない、術中照射は一度に多くの放射線照射を行ないます。
また、抗がん剤と放射線を併用されることがあり、その場合は、化学放射線療法と呼ばれます。
放射線の副作用としては、吐き気や全身の倦怠感、白血球の減少などがあります。
体外照射の場合は膵臓周辺の胃や腸も照射されるため、胃や腸の粘膜が炎症を起こしたり、出血を起こす事もあります。
術中照射の場合は病巣に直接照射するため、正常細胞には影響は少ないため副作用が少ないと言われています。

3.化学療法

化学療法とは抗がん剤を使った治療のことです。
手術が出来ない場合や再発した場合に抗がん剤治療を行ないます。
膵臓がんで使用される抗がん剤には点滴や内服などいくつか種類があります。
身体の状態やがんの状態に合わせてこれらの抗がん剤を単独で使用する場合といくつかの抗がん剤を組み合わせて使用する場合があります。
食欲不振や吐き気、下痢などの症状や、白血球や血小板が減少する副作用がでることがあります。

主な抗がん剤の種類 主な副作用
ゲムシタビン (ジェムザール) 吐き気、嘔吐、発熱、発疹、疲労感
白血球の減少、貧血、血小板の減少
TS-1
(テフガール・ギラシル・オテラシルカリウム配合剤)
食欲不振、吐き気、下痢、口内炎、皮膚の色素沈着
白血球の減少、貧血、血小板の減少
FOLFIRINOX(フォルフィリノックス)療法
・オキサリプラチン (エルプラット)
・イリノテカン塩酸塩 (カンプト・トポテシン)
・ホリナートカルシウム (ロイコボリン)
・フルオロウラシル (5-FU)
骨髄抑制、下痢、食欲不振、吐き気、嘔吐、末梢神経障害(しびれなど)
ナブパクリタキセル (アブラキサン) 骨髄抑制、下痢、末梢神経障害、疲労、発熱性好中球減少症
エルロチニブ塩酸塩 (タルセバ) 発疹